2025/09/01 01:10
秋のはじめに、と言ってもまだまだ暑いですね(笑)
静かな物語を読んで、秋の気分に浸ってみませんか?
9月のテーマは喪失。
大きな痛みを伴う喪失。
その先にある再生を描いた物語を集めました。
◆1冊目は…
『あきに咲く』
鎌田あゆ
『あきに咲く』はほしのたねライブラリのなかの1冊。
恋人を亡くした大学生・楓の姿を描く中編小説です。
孤独よりもなによりも、秋くんを忘れて
進んでいく世界のほうが何百倍も怖い
「死んじゃった人とご飯食べられるなら誰とがいい?」
死別した恋人・秋を想い続ける楓は、孤独のなかで現実と向き合うことを避けていた。そんな中、秋の友人である貴島から渡された一枚のチケットが楓の止まった時間をそっと動かし始める__。
秋が終わる季節に贈る、喪失と再生の物語。
キーワードは
#喪失 #再生 #記憶 #食事 #死別 #愛情 #後悔 #自責 #秋 #大学生 #中編小説
繊細な感情の描写と美しく瑞々しい文章が光る作品です!
◆2冊目は…
『庭』
賀川炯
『庭』は星々の本棚シリーズの1冊。
賀川炯さんの短編小説集です。
だって、きっと、
言ってしまったら、
この幸せな空間は失われてしまう──
ふとしたことで家を抜け出し、祖父の家に向かった私。子どものころから馴染んだ家でいつものように過ごすうち、なぜか違和感を覚え……。夢と現実のあわいを漂いながら、再生を描く「庭」。
自分が担当する作家から「これは私の遺書なのです」と書かれた原稿を受け取った編集者が、その作家の正体に迫っていく「マージナル」。
ひとり旅の途中で出会ったヒーローを目指す男とのやりとりによって生きる力を取り戻す女性を描いた「ヒーローとミルクレープ」。
父の死後、遺品整理をするうちに、自分の過去といまに向き合う男を描いた「旋回のまたたき」。
ファンタジーやミステリーの形を借りて、人の心の迷宮を描く短編6編。
〈目次〉
庭
タイムカプセルの中の温室
巡礼の森から、君へ
マージナル
ヒーローとミルクレープ
旋回のまたたき
人の心の深い部分に降りていくような作品集です!
『あきに咲く』『庭』とも、日本文学を愛する新しい世代の書き手の作品です。
読めばきっと命の儚さと力強さを感じることでしょう。
本格的な秋の到来を待ちながら、しばし本の世界に浸っていただけたらうれしいです!